6月19日発売の「師弟 棋士たち魂の伝承」。
素晴らしい内容で、一気に読み切りました!
印象に残ったところが多すぎますが、その中でも第1章と第5章が特に印象に残りました。
第一章 谷川浩司九段×都成竜馬五段
第1章は、谷川浩司九段と都成竜馬五段の師弟について。
互いを思いやる気持ちがとても美しく感じました。
多くを語らない谷川九段が、師弟のことをここまで語っているのは珍しいと思います。
「弟子は彼一人しかいませんから、私もどうしたらいいかいろいろと悩みました」
谷川は妻が弟子の昇段祝いのネクタイを選ぶとき、とても楽しそうだったのを覚えている。
この2点は心をうたれました。
谷川会長-モバイル編集長としてお仕事をしていた頃。
あるとき私の成績を気遣う言葉をいただき、とても嬉しく、その後の精進につながったことを強く覚えています。
谷川九段とは、棋士にとってそういう存在なのです。
都成五段が三段リーグで苦労していた時、谷川九段の言葉がどれほど心強かったか、想像に難くありません。
第五章 石田和雄九段×佐々木勇気六段
もうひとつは第5章。石田九段の著書は先日ご紹介しました。
石田九段は弟子のモバイル中継を観ながら一杯やるのが楽しみと語ります。
佐々木六段は、「今でも負けたときは、真っ先に石田に電話する」そうです。
こんなに近い師弟関係を聞いたことがありません。
互いを思いやる気持ちの美しさをこちらでも感じました。
その他の章について
他にも、森下卓九段と増田康宏五段の親子のような師弟関係、森信雄七段の棋士人生、佐々木大地五段の幼少期、などなど、知らないことばかりでした。
第6章は杉本昌隆七段が藤井聡太七段について語っています。
3月に行われた師弟戦は、やはり特別な思いがあったとのことです。
最終章は羽生善治竜王が登場。
師匠の二上達也九段のこと。
現代の将棋勉強法への見解など。
この2つの章も必見です!
私の師匠、加瀬純一七段のこと
師匠とは、加瀬将棋教室での指導で、月に1回は必ず会います。
教室終わりにはお客様交えて飲みに行くことも多く、他の一門を見渡しても、師弟の接点が多い門下です。
私は奨励会時代、当時では珍しく大学へも進学したり将棋界の常識とは違う道を歩んでいましたが、師匠から何かを言われた記憶はありません。
師匠は外の世界での経験を重要視しているので、私の行きたい道を進ませてくれたのでしょう。
この本のエピソードになりそうな話を一つ。
三段リーグでの昇段争いの最中、直筆の扇子をいただき、昇段を決めた日はその扇子を持参しました。
この扇子はプレッシャーを跳ね除けるのに大きな力となりました。今でも大切に保管してあります。
おすすめの一冊です!
著者曰く
文中では、なるべく専門用語も用いることを避け、将棋初心者でも読み進めることができるように心がけた。新たな将棋ファンが生まれるきっかけになってくれれば、嬉しい限りである。
確かにとても読みやすい本でした。
将棋ファンから将棋を知らない方まで、多くの方におすすめの一冊です。
ぜひご一読ください!
それではまた