前回の記事の続きです。
△7七同飛成の周辺について、もう少し掘り下げてみます。
いつ△7七同飛成に気がついたのか?
対戦相手の石田直裕五段は、将棋連盟モバイルの公式Twitterを担当しています。
対局の翌日に感想をツイートしていました。
昨日の藤井聡太七段戦を振り返ります。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) June 6, 2018
夕食休憩の局面。まだ良い勝負と見ていたのですが…
ここから△76歩▲同銀△47歩が事実上の決め手。一見先手玉から遠いので▲64歩と突いて攻め合いにでましたが、その数分後戦慄の寄せがあることを悟りました。
この段階で正確な速度計算に、凄みを感じました。 pic.twitter.com/mG0xJcz8f3
ツイートを読み解くと、65手目▲6四歩に対する相手の考慮中に、石田五段は76手目△7七同飛成の筋に気が付いたようです。
藤井聡太七段はその▲6四歩を△同銀と取る手に20分以上考慮しているので、そこで気が付いたのでしょう。
どうやら、双方10手ほど前に気が付いていたようです。
△7七同飛成の手前で小考を繰り返していますが、さすがの藤井七段も飛車を捨てる手なだけに、繰り返し読みを確かめていたのではないかと推測します。
▲7二銀の両取りに、飛車をさばいて空をきらせるのは常套手段です。
とはいえ、実戦で気が付き、考え、指すのは大変で、藤井七段の△7七同飛成という好手とその構想には、感嘆せずにはいられません。
プロだってお手本が欲しい!
ネット上では、プロ棋士が感嘆ばかりでそれでいいのか、という声も見かけました。
でもファンの方と同様、プロ棋士も素晴らしい手に感動するのです。
そしてさらに言えば、
素晴らしいお手本に出会った!
次は自分がこの手を指すんだ!
そんな気持ちもそこにあるはずです。
藤井七段の強さの理由
石田五段のツイートで、
この段階で正確な速度計算に、凄みを感じました
とあります。
対戦相手に凄みを感じさせることが、勝負において有利に働くことは自明の理です。
それも藤井七段の強さの理由なのでしょう。
藤井七段の全局集には全59局が収録されています。凄みを感じさせられる対局が多く入っていることでしょう。
それではまた
【追記】6月11日に続編を書きました