将棋棋士 遠山雄亮のファニースペース

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思わず「おぉ!」と声が出た、藤井聡太七段の起死回生の一着

昨日の叡王戦七段予選は、3局すべて見応え十分、面白い対局ばかりでずっとニコ生とモバイル中継で観戦していました。

特に14時開始の▲藤井聡太七段-△小林裕士七段戦。

追い込まれた藤井七段の見せた起死回生の一着には思わず声が出ました。

 

起死回生の一着!

この一戦は小林七段が素晴らしい指しまわしでペースを握り、ニコ生で時折表示される評価値もずっと小林七段に傾いていました。

(色付きは実戦の指し手)

 

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この局面では3000点もの大差がついており、この▲7八歩も苦し紛れの受けで、「あぁ、藤井七段もやられたか」と思いました。

ところがこの一手がのちの起死回生の一着へ伏線になります。

 

実戦は△8八金▲6九玉△6八成銀▲同玉△7五飛と進みます。

そこで出たのが▲5七玉

 

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指された時は、これも△7八飛成や△7九角の攻めを逃れただけの苦し紛れの一着だと思いました。

中継のコメントにもそれが現れていますね。当時はそういう雰囲気でした。

対局者の小林七段もそう思ったことでしょう。短考で△7八飛成

 

しかし恐ろしいことに、この▲5七玉によって相手玉は詰めろになっていたのです!

 

実戦は▲1三飛成△同歩▲1五桂と進んで急転直下の終局に。

後手玉はとん死しました。

 

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以下△1四玉▲2六桂△2四玉▲2五歩△同玉▲1六銀△3六玉▲3七銀打、と追ったときに▲5七玉の効果が現れます。

 

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玉が6八にいると△4七玉と逃げられますが、5七に玉がいるので後手玉が捕まっています。

ただ受けただけに見えた▲5七玉が、最後の最後に相手玉をつかまえる一兵卒となっているのです。

まさに起死回生の一着でした!

 

▲5七玉の瞬間は文字通り誰も後手玉の詰みに気がついていませんでした。おそらく藤井七段を除いては。

▲1三飛成を藤井七段が考慮中に解説の千田六段が詰みに言及し始めて、そこで私も一緒に考えてこの▲5七玉の意味に気が付き、思わず声が出ました。

それはまるで、大ドンデン返しの映画の結末を観た時のような衝撃でした。

 

本戦での活躍にはずみとなるか?!

これをリアルタイムで観られたのは興奮しました!

ご覧いただいたファンの方も皆さん同じ感想かと思います。

終盤での大逆転は、将棋における一番の見せ場ですね。

 

藤井七段は19時からの対局にも勝ち、本戦へ進出しました。

こういう勝ち方をすると勢いがつくとしたものですが、どうなるでしょうか?!

他人事ではないわけで(笑)、もし対戦することになれば、その勢いを止められるようにしたいです。

 

それにしても見事な▲5七玉で、昨日は将棋観戦を満喫した一日でした。

全棋譜はモバイル中継叡王戦公式ページで閲覧可能です。

タイムシフトもありますので、その時の空気感をぜひ感じてください!

 

live.nicovideo.jp

 

 

それではまた