6月22日の中田功七段戦について。
ファンの方から質問を受けました。
「何故金が離れる7八金型にしたのですか?」
これは穴熊で端攻めを受ける時を考えてのものです。
今回はそのメカニズムについて書いていきます。
7八金型が端攻めに強い、そのメカニズムとは?
振り飛車側から端攻めを受けたときに「上部に厚い」7八金型が大きな違いを生みます。
ここからのメカニズムを知っているだけで、穴熊の勝率がアップするでしょう!
図は中田七段戦で駒組みが完了したところです。
実戦は第1図で▲5五歩と仕掛けました。
▲7九金寄とすれば完全穴熊ですが、その一手は間に合いません。
後手の角道が止まらない中で「△9五歩+△8五桂」型を作られると端攻めが厳しいからです。
つまり第1図で▲7九金寄と固めると△8五桂で術中にハマってしまいます。
完全穴熊に1手足りないのは仕方ありません。
その直前の形は「7九金6九金型」にもできました。
なぜ離れ駒ができる「7八金6九金型」にしたのか。
第1図から▲5五歩△同角▲2四歩△同歩▲同飛△2二歩▲3四飛に、△9六歩▲同歩△8五桂と進んだとします。
第2図では▲8六歩が端攻めを受ける手筋です。
(▲3一飛成も有力ですが、ここでは▲8六歩を解説します)
△9七歩▲同桂△同桂成▲同香で第3図。
これ以上端を攻めることができません。
この図で7八の金が7九にいると△8七桂があって王手金取りが生じるのがおわかりでしょうか。上部に厚い7八金型の長所がよく出た図です。
なお最初の△9七歩に ▲8五歩△9八歩成▲同玉という取り方も有力です。
もう一つのメカニズム
第1図から▲5五歩にすぐ△8五桂には、やはり▲8六歩と桂を責めます。
△9七桂成と捨ててきますが、▲同銀と取るのが手筋。
桂や香と違って銀なら△9六歩の時に元に戻れます。
この取り方は△9七桂成と捨ててきたときの必須手筋です!
第5図以下、△9六歩▲8八銀△5五角に▲8七金が受けの好手。
第6図では後手からもうひと押しがありません。
△9七歩成には▲同香△9六歩▲同香△同香に▲9七歩(▲同金は△8七香)で大丈夫。
端攻めの性質上、後手はこれ以上援軍を送ることができず、攻めが途切れました。
端攻めは勝敗に直結する
7八金型のほうが端攻めに強いというメカニズム、ご理解いただけたでしょうか。
7八に金を配置し、8七の地点にきかせて上部を厚くすることで、様々なメリットがあるのです。
先日、端攻め本を紹介しました。
端攻めは勝敗に直結する大事な攻防です。
一つずつ手筋を覚えていきましょう!
それではまた