将棋棋士 遠山雄亮のファニースペース

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飛車落ち右四間定跡、将棋AIの評価値で判明した銀冠のワナ

飛車落ちで一番有名な定跡といえば右四間飛車定跡でしょう。

私も上手を持つとかなりの確率で指されます。

 

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ここから▲4五歩△同歩▲同銀、と進めるのが有名な定跡で、手順によっては詰み近くまで定跡化されています。

 

しかし、この図と手順に2つの重大な事実を発見しました。

  • 銀冠
  • ▲4五同銀

この2つの手は、将棋AIによるといずれも評価値を落とす手なのです。

いままで常識とされていただけに、驚きもあります。

 

どの囲いがいいのか

囲いは、銀冠に組まなければいいのです。

 

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 こうした図から▲7七角~▲8八銀~▲8六歩~▲8七銀と組み替えるのが常識とされていますが、実はこの金無双で囲いは十分です。

 

流行の「elmo囲い」も評価値は悪くありません。

 

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銀冠に組むと、評価値でいえば500点ほど落とします。手数をかけて、かえって自陣を弱体化させているのでしょう。具体的な理由も後述します。

 

どう攻めるのか

では将棋AIはどんな攻めを推奨するのでしょうか。

(青字は将棋AIの示す手順です)

 

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ここから▲2五歩△同歩▲4五歩△同歩▲同桂と進めます。

 

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ポイントは、一気に攻めつぶそうとしないこと。4五は桂でいきます。

以下△同桂▲2二角成△同金▲4五飛△4四歩▲2五飛△2三歩

(手順中、△4四歩を打たないで△3七角とかは▲4三飛成~▲5二角で崩壊)

 

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十字飛車で角と桂と2歩を手持ちにしてさばきます。

そしてここからが現代将棋らしい手順です。

▲4八金△3二金▲2九飛

 

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出ました、二段金+一段飛車。

角を持ち合う形では常に優秀な形です。この場合は▲4八金で3七と3八に角を打ち込むスキを消しています。

以下は▲6六歩~▲6七銀~▲5六歩とジックリ指して、相手のスキが出来たらそこを突く、という手順を将棋AIは推奨します。評価値は大差なので、そのリードを心の支えに指していけば勝てるはずです!

 

なお囲いがelmo囲いでも、手順は同様で問題ありません。

評価値に大きな差はないようです。

 

ではなぜ銀冠だといけないのか。

 

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ここから上記手順と同様に進めてみます。

▲2五歩△同歩▲4五歩△同歩▲同桂△同桂▲2二角成△同金▲4五飛

 

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ここで上手が変化します。

△3二金▲2五飛△2三歩▲4八金△6四角

 

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歩を手持ちにして6四に角を打ち、△8五歩から攻めるのが上手の狙いです。

銀冠に組んだことで、銀の頭というキズを作っているわけです。

△6四角に▲2九飛△8五歩と進めると、先ほどの第7図と比べて評価値を800点くらい落としています。

 

勝ちにくい原因は銀冠にあり

この右四間飛車定跡は、「下手が勝ちにくい」とされています。

将棋AIにより、その要因は銀冠にあると判明しました。

定跡とされている手を指さないのは抵抗があると思いますが、それを乗り越えることで将棋は進化しています。プロの将棋も気がつけばガッチリ組み合う相矢倉は姿を消してしまいました。

飛車落ちで苦戦されているアマチュアの方は勇気を持って、銀冠に組まない、を取り入れてみてください!

 

 

それではまた