finalと銘打たれた4回目となる電王戦が終わりました。今まで以上に様々な面で話題になりました。
第4回電王戦の戦いは、野月七段による第5局観戦記で総括されています。
どの観戦記も素晴らしいですが、こちらも必見です。
先日放送された羽生名人とカスパロフの対談で、カスパロフが
私は人工知能の発達を前向きに捉えている。人類を脅かす存在ではなく、我々にとって便利になると信じている。そのためにもチェスや将棋のコンピュータ対決の経験を活用する事が重要。人間とコンピュータの考え方の違いが明らかになり、協力する方法を編み出すことができる
と話していました。(ETV特集「羽生善治×ガルリ・カスパロフ対談」。人工知能、加齢、引退、チェスと将棋の違いなど | 将棋ワンストップ・ニュースより引用)
この電王戦では出場した方々が死ぬ気で対峙したこと、さらに将棋連盟あげて協力をしたことで、「人間と人工知能のこれから」を表すものとして語り継がれるものになったと言えるでしょう。
第1局は対人とは全く異なる事前研究と対局内容。
第2局は思わぬバグ
第5局は投了のタイミング
第1局は、コンピュータとの対峙には今までと全く違う発想を必要とすること。
第2局は、プログラムをどこまで信じるべきなのかということ。(参考記事)
第5局は、究極的に最後を司るべきなのは人間か人工知能かということ。
どれも「人間と人工知能のこれから」という点で現れそうな事柄です。
将棋はどの段階でシンギュラリティを迎えた(る)のか。シンギュラリティの定義を「大多数の人間を超える」とすれば、それはとうの昔に訪れています。
でも「その時」はほとんどの人が知らぬ間に訪れました。ソフトの強さが認知された時、既に大多数の人間よりはるかに上回っていました。
まだ負けない人間もいるのではないか、その思いがこの電王戦を熱くしています。人間の底知れぬ力を信じたい気持ちもあります。
いずれ来るであろう社会全体のシンギュラリティにおいても、人間とコンピュータ将棋の歩んできた道のりがスポットを浴びることでしょう。
共存共栄はずっと言われ続け、私も考え続けていること。
将棋界がAIを使う側にまわるのか使われる側にまわるのか。
いま歩みを止めれば、使われる側に落ちていくことでしょう。
いかに使う側にまわり、共存共栄を果たすのか、いま私が強烈に意識することです。
将棋界が共存共栄に成功すると、それはシンギュラリティを迎えた後の社会への好例となるはずです。
果たしてシンギュラリティ後の社会は明るいのか暗いのか。将棋界の動向には多くの目が向けられています。
この電王戦は私自身の考え方を様々な方向へ導くもので、今回の電王戦を経て、今後自分がどう進むかが定まりつつあります。
コンピュータ将棋を深く知ったことで、将棋の学習の方法も随分変えています。
これからはより、コンピュータをどう活かすかということを強く意識して、自分が少しでも「人間と人工知能のこれから」の関係性を表現出来るようにしたいものです。
それではまた