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第1期電王戦第2局

電王戦第2局が対局中です。モバイル中継とニコ生で観戦しています。

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急戦矢倉は意外で、空中戦系(相掛かりや横歩取り)と予想していました。

現地検討陣もそう見ていたようで、完全に意表を突かれました。

 

 

電王戦は人と人工知能の今後を示す戦いです。

コンピュータの力を知らなかった頃から始まり、その力を認めたのが前回までの流れでした。

人がコンピュータの強さを認め、取り込もうとしているのが現況だと思います。

その中で急戦矢倉になったのは象徴的です。

なぜかというと、いま矢倉戦法は人とコンピュータの価値観がぶつかっているからです。

 

最近コンピュータ将棋ソフトは矢倉戦法に懐疑的で、本局のように桂が跳んで7七の銀を狙う指し方を有力とみています。

一方将棋界で矢倉は非常に歴史のある戦法で、本局のような急戦矢倉も指されてきていますが、急戦を仕掛ける側は矢倉戦法に懐疑的だったわけではなく、あくまで戦法の一つとして採用していました。

 

将棋ソフトの急戦策はポツポツと公式戦でも見られており、叡王戦では若手の阿部(光)六段が森内九段を倒して話題になりました。

第1期 叡王戦本戦観戦記 森内俊之九段 対 阿部光瑠五段(君島俊介) | ニコニコニュース

 

しかしその後この指し方が盛んにはなっておらず、今までの価値観を覆すには至っていません。

Ponanzaや他ソフトは駒組み段階から急戦矢倉側がやや有利(-100程度)と評価していますが、2日目はどうなるでしょうか。非常に楽しみです。

対局の勝敗のみならず、価値観のぶつかりという点でもご注目ください。

 

 

それではまた