将棋棋士 遠山雄亮のファニースペース

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永瀬七段戦

最初に、最後は大ポカでいきなり終局となり、中継を楽しくご覧になっていた方には後味が悪い形になりました。

対戦相手の永瀬七段にも気を遣わせてしまいました。

申し訳なく思っています。

このことは対局の振り返りの後に書きます。

 

チャンスを逃したところ

振り駒で先手になり、横歩取りへ。

やや苦しい展開でしたが、チャンスがめぐってきました。

それが図の局面。残り持ち時間は約50分でした。

 

 

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(実戦の手は青字。先手▲が私です)

残り40分の場面が勝負所だ、と戦前に予想していました。

リードして迎えて、そこでしっかり指せば勝機も、と思っていたのですが。

 

ここで約20分考えて指した▲8五桂が敗着に。△6九角の筋を受けつつ攻めた手ですが、中途半端でした。

ここは▲5八玉と辛抱すれば分のいい戦いでした。

▲5八玉は候補でしたが、受け一方でもありためらいました。

しかしこういう場面で勝ちを焦らずに辛抱強く指すというのは、心がけていたはずのこと。逃したのは痛恨でした。

 

以下は少しずつリードを広げられ、勝ち目のない戦いでした。

勝負所で中途半端な手を指したので、敗戦も納得です。

 

大ポカの要因は

最後は考えと違うところに飛車を打ってしまい、反則級の大悪手でした。

自分でも指した後にビックリしました。

敗戦濃厚だったので、負けるにしても後味悪くして申し訳ないな、と思いました。

 

要因としては2つ考えられます。

1つ目は、ここ2年くらい対人で練習将棋を行っていないことです。頭やPCの前で将棋を考えることに慣れすぎていました。

盤の前に座る時間も作っているのですが、自宅ではなかなか秒読みのような状況は作れません。

この課題は、いまの練習方法を続ける限りは解決できないので、仕方ありません。

 

2つ目は、気持ちの問題です。永瀬七段の対局中の気迫は聞きしに勝るものでした。

(後ろ向きに)バナナを食べているのも気がついていました。

この将棋は、千日手に持ち込むべき場面や上記の場面など、ミスがあった場面は技術よりも気持ちに問題がありました。最後は気持ちで押されていたと感じました。

永瀬七段ほどの気迫の持ち主はプロでも有数です。

素晴らしい姿勢で私に欠けているところであり、見習いたいものです。

 

叡王戦は残念ながら本戦1回戦で敗退となりました。

自分に足りなかったものを見つめ直し、また出直します。

 

 

それではまた