将棋棋士 遠山雄亮のファニースペース

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コンピュータ囲碁の衝撃

囲碁界で注目の戦いが始まりました。
Googleが力を注いだアルファ碁vs世界有数の強豪李九段
全5戦のうち、第1戦が今日行われました。

 

囲碁はルールが分かる程度なので流し見の予定でしたが、中盤くらいから食い入るように観戦しました。

結果はアルファ碁の勝利。衝撃的な結果でした。

 

ニコ生出演のプロ2人が

「(アルファ碁側に)感覚的にダメなはずの手なのに10手位進行すると好手だと分かった、そんな手が2~3つあった」(大橋プロ)
「(李九段に)完全に読み勝っていた」(熊プロ)
と賞賛しており、偶々ではないことを表していました。

 

私は今回のことをコンピュータ将棋の歴史に当てはめると、ボナンザが渡辺竜王に挑んだ2007年3月と同じ状況になると思っていました。
好勝負はするけれど人間が大きく勝ち越し、まだトップの方が上だった、という結末になるのではないかと。
まだ第1戦が終わったところで、2戦目以降で李九段が勝ちを重ねればそういう結論に落ち着きますが、若手プロ2名が口をそろえてアルファ碁の実力を賞賛しているのは尋常ではなく、違う歴史になるかもしれません。

 

2007年3月は1人の天才プログラマーが1人の天才棋士に挑んだわけですが、今回は世界的企業が1人の天才棋士に挑んでいます。
ハード側の進化もありますし、違う結末になってもおかしくないのは状況だけ見れば自然でしょうか。
それでもいきなりトッププロが負け越すような事態にはなってほしくないです。巻き返しを期待します。

 

ニコ生や囲碁プレミアムを観ていて、将棋電王戦で現役プロ棋士が初めて負けた時のことを思い出しました。
将棋電王戦でも感じますが、人間対コンピュータという戦いには強く惹きつけられるものがあります。
ここから4戦がどうなるか。勝負の結果や内容と共に、様々なドラマが生まれるかもしれません。

 


それではまた