将棋棋士 遠山雄亮のファニースペース

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電王戦閉幕

電王戦が終わりました。6年間、年に一度の盛大なお祭りでした。
囲碁でもAlpha碁が完全勝利し、2017年は「ゲームの世界でチャンピオンがAIに負けて対戦形式が終わった」年として、未来に語り継がれることでしょう。


今回が最後の電王戦ということもあり、私自身第1・2局と現地に赴きました。

第2局の直前、観戦記担当の先崎九段に、現地でお世話になります、と伝えると、

 

「わざわざ自費で来るのか、どうしてだい?!」

 

と聞かれてとっさに

 

「電王戦は私の青春なんです」

 

と答えて、自分でも大げさすぎて驚きました。
でも電王戦は自分の人生に大きな影響をもたらし、得難い体験をしました。

言葉に出してから思い返すと、青春と言っても言い過ぎではないのです。

 

先崎九段が書かれた第2局の観戦記は、本当に素晴らしいものでした。ぜひご一読を!

originalnews.nico

 


第1回電王戦から数えて計6回(6年)、佐藤天名人、ドワンゴ川上会長の第2局終局後のインタビューにこの電王戦が集約されています。

 

佐藤天名人

コンピューターが人間を超えていく過程はとても刺激的で、多くのドラマを生む。それが電王戦で起こったと思う。

 

ドワンゴ川上会長

人工知能対人間」という文脈において、人類の歴史の転換点に関われたことは光栄だった

 

記者会見の模様はこちらの記事に詳しいです。

 

ascii.jp

 

私自身も、人間が人工知能に追い越される過程を示すものとして、電王戦は文字通り空前絶後のイベントだったと思います。

 


私自身全6回の電王戦になんらかの形で携わり、将棋連盟サイドに立って将棋ソフトへ勝つことに協力してきました。
そして将棋ソフトが指数関数的に強くなり、人間が追い越されることを体感しました。

 

色々書きたいこと、思うことがあります。最初は沢山のことをブログに記してきました。
でも途中から多くの人が電王戦に関心を持ったことで、素晴らしい考察が出てきて私が書く必要性が乏しくなりました。

下記の記事は、電王戦をキレイに総括した、本当に素晴らしいものです。長いですが、ご興味ある方はご一読ください。

 

news.denfaminicogamer.jp


私は棋士なので、こんなにうまくまとめることはできません。でも棋士という立場だからこそ出来ることもあります。
その方法として、電王戦を将棋の解説として記すならば、それは棋士にしか出来ないことでしょう。

 

そこで時間の余裕がある時に、計20局の電王戦を一つずつ振り返っていこうと思います。
いま振り返ることでわかることも多くあります。
誤解されたままになっている出来事もありそうです。

 
まずは電王戦6戦全勝のPonanzaの将棋を振り返ろうと思います。
Ponanzaが指数関数的に強くなっていることが証明できる、はずです。

 

書けること、書けないこと、色々ありますが、どう人間がコンピュータに抵抗してきたのか、ということに関しては関係者に迷惑にならない程度に記していこうと思います。
あまり早いペースでは書けないので、のんびり読んでいってください。

 


それではまた